『屋根の上のバイオリン弾き』というのがある。
日本では、森繁久彌氏がテヴィエ役で900回にも及ぶ演技をつとめたことで知られる。
日本語のタイトルとしては、ちょっと長いが、英語のタイトルは、
"Fiddler on the Roof"
というコンパクトなもの。
『屋根の上のバイオリン弾き』と題すると、説明的な日本語の特性を感じさせられる。
タイトルは、シャガールの絵にヒントを得たとも言われるが、
人生は、不安定な中でバイオリン弾くようなものという意味合いが込められているようだ。
流転する不安定な人生と言えば、
昨日、New York Times に85歳の さすらいのJazz ピアニストが紹介されていた。
このご仁、かつては、知られるピアニストだったが、
孤独な中で鬱病に苛(さいな)まれ、施設に保護される身となっていた。
あるとき、そのリビングルームにある古ぼけた調律されていないピアノに、
惹き付けられるようにピアノのキーを叩いた。
すぐに、以前のような腕を取り戻した訳ではなかったようだが、
少しずつ弾くことによって、輝きを取り戻していき、
毎土曜日の夜に演奏会を開くまでになったという。
そして、その歳にしてCD のレコーディングの話が進んでいるという。
司馬遼太郎の言葉に、
「男というものに非常に魅力を感じる。
男の持っている権力慾、出世慾、求道慾、色情、そして、虚無感。
泣きたくなるほどの悲愴感と、おなかをかかえて笑いたくなるほどの滑稽感を持つ」